いちまいインタビュー
現在コドモのキモノユニットという新しいジャンルを確立し活動中のお二人。
大人向けの着物のスタイリングブックの製作や撮影作品がAPAアワードに入選するなど、
新進気鋭の実力派のお二人に今回初の写真館への意気込みをうかがいました。
引田「元々編集者として働いていましたが、あるとき写真家の横浪修さんの撮った着物姿の子どもの写真に非常に惹かれて、“こんな写真を撮りたい ”と思ったことがきっかけで写真家に転身しました。それで作品撮りをする際の着物のスタイリストさんを探していたところ、山下さんが応募してきてくださいました。」
山下「引田さんが募集しているときにこんな写真を撮りたいとイメージとして使われていたものが、私の師匠がスタイリングをした写真だったんです。あ、あの仕事のやつだ(笑)と思ってピンときて応募を決めました。お互い子どもと着物が大好きだし、何より自分も素敵だなと思うものを同じように素敵だと思っていることが大きいですよね」
引田「そこからゆっくりではありましたが、作品撮りをしていって。そのうちに私が布を買ってきて少し洋風なのをやってみたい、こういうものを作れるか? と山下さんに伝えると、想像を超える素敵なスタイリングをしてくださって 。毎回“山下悠”という(笑)素晴らしい作品になって返ってくるんです」
編集:期待以上のものが返って来るわけですね。
引田「そうなんです。ずっと写真館をやってみたいと思っていた私の夢を大きくしてくれたのが彼女でした。今まで山下さんがスタイリングをしてくれたもので反対したものは一つもないんです」
山下「指示が明確ですし、なにより可愛いと思うもののベクトルが一緒なのでとっても仕事しやすいんですね」
引田「お互いに子どもが好きで着物が好き。同じくニッチなところにいて同じ感覚を持っているというところが強みだと思います」
編集:まさに息がぴったりですね!
そんなお二人の作品作りに対する想いを教えていただけますか?
引田「とにかく2人ともキモノが大好きで、この伝統を伝えたいという強い想いがあります。着物を着た日の思い出ってみなさんそれぞれにたくさんあると思うんですけど、私は夏の日に履いた下駄の音を聞いたドキドキだったり…そういうちょっとした思い出から、こういった伝統が途切れてしまうのが怖いと思ったんですね。そこで洋服生地から着物を仕立てたり、この伝統が少しでも皆さんの“可愛い”というアンテナにひっかかるようにして伝えていきたいと考えています。とにかく着物を広めたいんです」
山下「それにはまずは視覚的に訴えていくことが一番だと思っています。実はきっちり美しく着るのが可愛かったりするのですが、それは一つのバリエーションとして、いろいろなスタイリングの提案をさせていただいてます」
編集:では今回の写真館での一番の“売り”はどんなところでしょう?
引田「なんといっても貴重なアンティークの可愛い着物を着られるというところだと思います」
山下「大正ロマン、昭和初期のアンティーク、そして手作りのものも含めて、すべてが一点ものです」
引田「世界中さがしてもどこにもない“いちまい”を着て、一枚いちまい丁寧に撮影させていただくところも売りですね」
編集:なるほど、そういう想いから「いちまい」というユニット名につながっていくのですね。
引田「撮影するときはいつもカヴァーフォトといって、本の表紙を撮るような気持ちで撮影しています。写真を始めたころは自分の中でそう念じて撮るだけでしたが、今では本当にそうなるように作品作りをしてます。」
編集:他の写真スタジオさんでは味わえないアート作品の一部になれるような。お子様にとっても素晴らしい体験になりますね。
今日はありがとうございました!
(写真と文:かとうまさこ)