北欧の香りを中心にお届けしているCASE galleryですが、今回はガラッと変わり、舞台女優 あべあゆみ にスポットをあて、画家・木村 恵、写真家・インベカヲリ★、2人の作家から見た あべあゆみ作品を展示します。
今回の展示会は、CASE galleryにとっても、未だかつてない冒険になると思います。
でもきっと、お越し頂いた皆さまには、血の通った新たな気付きのある冒険をお届けできるだろうと確信しております。是非、固定観念はどこかに置いて、お越し下さい。
木村恵さん、インベカヲリ★さん、そして あべあゆみさんにお話を伺いました。
——展示内容が普段とは大きく異なりますが、今回何故、CASE galleryで展示することになったのですか?
木村:僕は展示会の企画も行っていて、CASE galleryでは今までに5回、展示会を企画しました。元はと言えば、僕と湯川さんは、高校の同級生なんです。
——インベさんが、あべさんを撮影されるのは、今回で2度目だそうですね。
インベ:そうなんです。この展示会が決まり、せっかくなら新しい作品を撮ろうと、再度撮影を行いました。
最初にあべさんの撮影を行う際、背中一面に刺青の和彫りをしているのに、表向きでは書店員さんをしている、というギャップに惹かれました。普段の作品撮りでも、私は、被写体となる子たちに、子ども時代から今までについてじっくりと話しを聞くのですが、その際、あべさんから「友達からは、すべてが平均だねって言われるんです」という話しを聞いて。
あべ:身長、体重、顔、靴、胸のサイズ、外見の全てが平均なんです(笑)。
インベ:応募してくれた子たちから話しを聞いていると、大体何かを抱えていたり、「自分を表現しきれなくて、他の人に言えないことを写真の中で出したい」というような想いだったり、翻弄されながら生きてしまっていたり、何かしらの動機があって来る子が多いんです。
でも、あべさんは特にそういうわけでもなく、育った環境も平均的だし、やりたいことも自分でやっていて、抑圧された何かというものも特になさそうで(笑)。
ただ、背中には刺青があるし、演劇もしているし。「なるほど、宿命的なものは平均的なんだけど、後から自分で手に入れてきたものは平均的ではないんだな」と思いました。なので、作品も、極端に普通の行動をしているんだけれど、背中だけはガッツリ見せ、ギャップを表現しました。
最初の作品では、洗濯をしていたんですけど、今回、展示のために新たに撮影したものは、割烹着で洗濯物を干しているんです。撮ってみたら、たまたま行動が続いていたんですよね。
あべ:作品を並べてみたら、洗濯をして、次は干していたんです。写真の中でも、ごくごく日常的なことをしていました(笑)。
インベさんから「裸に割烹着で洗濯物干しているところを撮ろうか」ってメールが来たんですが、その提案を貰ったときは、一番気持ちが高揚しました!
友達から言われた「平均」という言葉も気に入っていたんですが、インベさんがおっしゃるように、自分自身で選択していくものは、どうにか人と違うものを身につけたい、という想いはあったと思います。
写真/インベカヲリ★
モデル/あべあゆみ
モデル/あべあゆみ
——木村さんから見たあべさんとは?
木村:僕は、「あべさんって菩薩様ですよね」って知り合いが言っていた言葉が、とっても腑に落ちたんです。
あべ:菩薩様?
木村:あべさんを描いていると、次のアイディアが浮かんでくるんです。最初はデッサン会にあべさんがモデルとして来られていて、その後あべさんの舞台を観に行ったときに、絵のモデルになってもらおうと思って。絵のモデルになってもらった後は、映像作品の出演もお願いしました。そうやってインスピレーションをもらっています。
木村:僕は、「あべさんって菩薩様ですよね」って知り合いが言っていた言葉が、とっても腑に落ちたんです。
あべ:菩薩様?
木村:あべさんを描いていると、次のアイディアが浮かんでくるんです。最初はデッサン会にあべさんがモデルとして来られていて、その後あべさんの舞台を観に行ったときに、絵のモデルになってもらおうと思って。絵のモデルになってもらった後は、映像作品の出演もお願いしました。そうやってインスピレーションをもらっています。
絵/木村 恵
モデル/あべあゆみ
モデル/あべあゆみ
『吉祥寺奇譚 麒麟日和』
絵/木村 恵
モデル/あべあゆみ
『新吉祥寺慕情 現(うつし)世は夢A』
——胸元には朝顔の刺青も入れられているそうですね。
あべ:今回のDMにも使用されていますが、最初に心臓から生える朝顔を入れました。朝顔って、種が麻薬になるという話しが小説に載っているくらい曰く付きなんです。私の入れた朝顔とは別のものですが、朝鮮朝顔にいたっては、幻覚作用の強い毒薬である、ということも書かれていて。そんな朝顔が心臓から生えているのはいいな、と思って入れました。
元々、刺青を見ることは好きだったんでが、一人でタトゥスタジオに乗り込んでいくということはしたことがなくて。30歳になって、初めて知り合いが刺青を入れてもらっているところを見に行ったときに、彫師さんの仕事を見て、この方に入れてもらいたいと思ったことがきっかけで、刺青を入れました。
——インベさんの作品には、女性の被写体が多いですが、インベさんにとって女性の面白みとは?
インベ:あべさんは少し違いますが、自分自身のマイナス面を表現しようとするのは、女性の特徴だな、と思います。男性は自分の一番かっこいい部分を見せようとしますが、女性は普段友達にも話さないことを写真の中で表現したい、という欲求があるように感じています。
木村:インベさんの作品は、男性には撮影できない写真だと思います。見る人によって違いますよね。
インベ:男性からのリアクションは、好き嫌いがきっぱり分かれますね。「被写体の女性たちの抱えているものが伝わってきてとても良い」と言ってくれる方と、「女性の裏の顔なんて見たくない」とか「わからない」という方と。
あべ:確かに男性だと見たくない人もいるかもしれないですよね。
インベ:幻想を持たせてよっていう人もいると思うんです。
——インベさんの作品によって救われている人たちも、たくさんいるような気がします。
あべ:私もそう思います。何かがあることを意識することによって矯正できるようなことってありますしね。インベさんの写真を見ると「痛可愛い」と思っていたんです。そうしたら、この間インベさんのまとめサイトにも「イタかわいい」って書いてあって、そうそうそう!と思ったんです。痛いけれど、愛おしさがあるんですよね。
インベ:私の中では、何か抱えていて悩みながらも、いろんなことを考えて生きている人の方が魅力的だなと思って貰えるような作品にしたい、と思っています。
——最後に、今回の展示会で楽しみにされていることを教えてください。
木村:お客様がどのような反応をされるのか、とても楽しみです。緊縛や刺青でも、基本的に美しいものをより美しく描きたいので、どのようなモチーフでも面白いと思って貰えるような展示にしたいと思っています。
あべ:私は4月2日(CASE galleryにて18時開演 ※要予約)に、太宰治の『燈籠』を扱った読書劇を行うのですが、太宰治自身は男性なのに、女性目線で書いているのが、かえって生々しくていいのではないかと思います。
刺青に関しては、文学や作品として観て頂けたらいいなと思います。あべあゆみが架空の人間だと思って観て頂いた方がいいかもしれないですね。
インベ:刺青って、刺青がメインの写真か、恐い人たちのイメージが強いと思うんですが、刺青が日常に溶け込んでいて、違和感なのに日常なところに驚いて欲しいです。
あべ:今回のDMにも使用されていますが、最初に心臓から生える朝顔を入れました。朝顔って、種が麻薬になるという話しが小説に載っているくらい曰く付きなんです。私の入れた朝顔とは別のものですが、朝鮮朝顔にいたっては、幻覚作用の強い毒薬である、ということも書かれていて。そんな朝顔が心臓から生えているのはいいな、と思って入れました。
元々、刺青を見ることは好きだったんでが、一人でタトゥスタジオに乗り込んでいくということはしたことがなくて。30歳になって、初めて知り合いが刺青を入れてもらっているところを見に行ったときに、彫師さんの仕事を見て、この方に入れてもらいたいと思ったことがきっかけで、刺青を入れました。
——インベさんの作品には、女性の被写体が多いですが、インベさんにとって女性の面白みとは?
インベ:あべさんは少し違いますが、自分自身のマイナス面を表現しようとするのは、女性の特徴だな、と思います。男性は自分の一番かっこいい部分を見せようとしますが、女性は普段友達にも話さないことを写真の中で表現したい、という欲求があるように感じています。
木村:インベさんの作品は、男性には撮影できない写真だと思います。見る人によって違いますよね。
インベ:男性からのリアクションは、好き嫌いがきっぱり分かれますね。「被写体の女性たちの抱えているものが伝わってきてとても良い」と言ってくれる方と、「女性の裏の顔なんて見たくない」とか「わからない」という方と。
あべ:確かに男性だと見たくない人もいるかもしれないですよね。
インベ:幻想を持たせてよっていう人もいると思うんです。
——インベさんの作品によって救われている人たちも、たくさんいるような気がします。
あべ:私もそう思います。何かがあることを意識することによって矯正できるようなことってありますしね。インベさんの写真を見ると「痛可愛い」と思っていたんです。そうしたら、この間インベさんのまとめサイトにも「イタかわいい」って書いてあって、そうそうそう!と思ったんです。痛いけれど、愛おしさがあるんですよね。
インベ:私の中では、何か抱えていて悩みながらも、いろんなことを考えて生きている人の方が魅力的だなと思って貰えるような作品にしたい、と思っています。
——最後に、今回の展示会で楽しみにされていることを教えてください。
木村:お客様がどのような反応をされるのか、とても楽しみです。緊縛や刺青でも、基本的に美しいものをより美しく描きたいので、どのようなモチーフでも面白いと思って貰えるような展示にしたいと思っています。
あべ:私は4月2日(CASE galleryにて18時開演 ※要予約)に、太宰治の『燈籠』を扱った読書劇を行うのですが、太宰治自身は男性なのに、女性目線で書いているのが、かえって生々しくていいのではないかと思います。
刺青に関しては、文学や作品として観て頂けたらいいなと思います。あべあゆみが架空の人間だと思って観て頂いた方がいいかもしれないですね。
インベ:刺青って、刺青がメインの写真か、恐い人たちのイメージが強いと思うんですが、刺青が日常に溶け込んでいて、違和感なのに日常なところに驚いて欲しいです。
(interviewer:小杉由布子)
■profile
あべあゆみ
舞台女優。2001年より演劇活動を行う。舞台の他、2011年には映画『天皇ごっこ たった一人の革命』に出演。現在、都内の小劇場を中心に活動中。
木村 恵
画家・アートディレクター。2010年に当時勤務していたシンガポールで絵を描き始める。日本に帰国後絵画制作に専念するとともに展示会の企画も行う。2014・2015年国展、独立展に入選。現在 多摩美術大学大学院美術研究科博士前期課程在学中。
画家・アートディレクター。2010年に当時勤務していたシンガポールで絵を描き始める。日本に帰国後絵画制作に専念するとともに展示会の企画も行う。2014・2015年国展、独立展に入選。現在 多摩美術大学大学院美術研究科博士前期課程在学中。
インベカヲリ★
1980年東京都生まれ、写真家。写真集に『やっぱ月帰るわ、私。』、共著に『ノーモア立川明日香』など。スガシカオのニューアルバム『THE LAST』ジャケ写撮影。月刊誌『新潮45』では事件ノンフィクションを執筆。
- 展示会情報 -
「あべあゆみをめぐる冒険」木村 恵 × インベカヲリ★
会期:3月19日(土) - 4月3日(日) 会期中無休
時間:12:00-21:00
▼展示・イベントの詳細はこちら
http://case1823.blogspot.jp/2016/03/case-gallery.html
「あべあゆみをめぐる冒険」木村 恵 × インベカヲリ★
会期:3月19日(土) - 4月3日(日) 会期中無休
時間:12:00-21:00
▼展示・イベントの詳細はこちら
http://case1823.blogspot.jp/2016/03/case-gallery.html
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